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現代のシェヘラザード姫の訃報 [本・小説]

「平たい地球」のファンタジー作家 タニス・リー氏が死去
「平たい地球」シリーズなどで知られる英国のファンタジー・SF作家、
タニス・リー氏が5月24日に死去した。67歳だった。

24歳でジュブナイルでデビュー。「ダークファンタジーの女王」とも呼ばれ、
「まだ世界が平らだったころ」のファンタジー世界を舞台にした
「平たい地球」シリーズや、「パラディスの秘録」シリーズなどで知られる。

中・高校生の頃に愛読していた女性作家の一人のタニス・リー女史が、
お亡くなりになってしまいました。
ご冥福をお祈り致します。

東京創元社も、作家タニス・リー逝去にて、お悔やみを述べています。

今のように、ライトノベル等でファンタジィがメジャーになる前、
1980年代に何冊もハヤカワFTで翻訳されていまして、
一番最初に読んだ「冬物語」、今も手元にあります。
妖しさに富む長編よりも、さらりとした文章の中に毒を含む中・短編集が好みで、
平たい地球シリーズも、最初の「闇の公子」の連作短編が一番のお気に入り。
週末、改めて読み返してみようと思います。
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一つの大陸の物語 [本・小説]

11年続いた物語が、ついに完結しました。
一つの大陸の物語〈上〉 〜アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他〜
一つの大陸の物語〈下〉 〜アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他〜
(時雨沢 恵一 著 電撃文庫)
さすがに全巻リアルタイムではなくて、読み始めたのは「アリソン」は全巻出ていて、
「リリアとトレイズ」はまだ発売前だから、2004年頃になるのでしょう。
親世代から子世代、そして友人達の話と、息の長いシリーズでしたが、
最後はオールスターキャストでお送りしました状態。
読み終えるまで下巻のカラーピンナップは、見ない方が安全です。
うっかり見てしまった者より、心から忠告します。

時間的には、「リリアとトレイズ」の後になります。
作品としてはアレコレ詰めすぎて、いささか散漫になってしまいましたが、
上巻は上級学校が主な舞台なので、子世代が中心。
下巻は親世代が活躍していて、アリソンとヴィル、
やっぱり、この2人は一緒にいないと。と、思わせてくれました。
過激に突っ走るアリソンと、静かに爆走するヴィル。
お互いに相手の癖や特技も知っていて、信頼するのに躊躇いがない。
女の子の方が軍人で、凄腕の戦闘機乗りって設定も良かった。

「リリアとトレイズ」だと、リリアだけが何も知らされずにいて、
これと言った特技も無く、ただ守られているだけになっていて、
対等な立場でなかったので、物足りなかったんですよね。
「一つの大陸の物語」でも、一番活躍の場が少なかった感じ。
新聞部の活動があったメグより、出番ないような……

さらっとあちこちでそれまで出てきたキャラが出てきますが
まさか、締めにあの人まで現れるとは、思いませんでした。
このシリーズでは「アリソン」が一番好きなので、下巻の表紙は嬉しかったです。
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太陽からの風 [本・小説]

太陽からの風』 (アーサー・C・クラーク 著 ハヤカワ文庫)
途方もなく大きな円形帆は、惑星の間を吹く太陽からの風を受けて
いっぱいにふくらんでいた。レース開始まであと3分。
これから地球を2周して、その加速で地球から脱出し、月へとむかうレースが始まる……
(ハヤカワ・オンラインより)

宇宙ヨット、ソーラーセイルと言えばこの小説の名が出るほど有名で、
先日のコズミック フロント「IKAROS」でも取り上げられていた作品。
大まかなあらすじは知っていたのですが、図書館で借りてようやく読む事が出来ました。
短編集ですが、今回はタイトルロールのみの感想です。

The Wind from the Sun 
紹介でも太陽からの風とありますが、実際は太陽からの光を利用したもの。
ヨットと言うと風を使うイメージもあるので、ちょっと紛らわしいのが残念。
勿論、小説の中ではしっかり光圧の説明が入っています。

短編なので、アイディアをいかに生かすのかが勝負ですか、
ソーラーセイルの雄大さを上手く使い、映像を想像させられる作品でした。
書かれたのは1963年、まだ人類は月面到着前で、日本は昭和30年代……

IKAROSが出るまで、スピン型のソーラーセイルは不安定で駄目。
と、考えてしまった人が多いのも無理はないかと。
ラストは年齢を重ねてから読んだ方が、味わいが増すと思います。
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雨の日のアイリス [本・小説]

雨の日のアイリス』(松山 剛 著  電撃文庫 アスキー・メディアワークス)
それは、ある雨の日の記録。
降り続ける雨の下での、出会いと別れの記憶。

ここにロボットの残骸がある。
『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。
ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。
主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、
何故このような姿になってしまったのか。
これは彼女の精神回路(マインド・サーキット)から取り出したデータを再構築した情報
彼女が見、聴き、感じたことの……そして願っていたことの、全てである。
(公式サイトより)

1冊完結で、ロボット、アイリスの視点を通して語られる物語。
事故で亡くなったアンヴレラ博士の妹の姿を模して作られた、
一般家庭用の家事補助型ロボットなのに、一人称が僕。
最初は少し違和感があったけれど、ロボットの「性別」とは、
あくまで外見から人が決めるもの。と、言う意味合いもあって、
それが、上手く使われています。

ロボット好きの人には、ぜひ読んでもらいたいと、
この本を紹介していた人が述べていましたけれど、
さらりした文体で書かれていますが、使い捨て扱いされるロボットの惨状は、
かーなーり胸にくるものがあります。
読みながら、何度か泣いてしまったのはお約束。

ただ、前から探していた本なのですが、発行が2011年5月。
知った時には既に書店の店頭には無く、ネットでも在庫が無い状況でした。
昨日たまたま行った先の書店で見つけたので、早速購入しましたが、
私のような人が他にもいたのか、再販されていたのですね。
諦めないで探していて良かったです。
ちなみに、今ではネットでも買えるようになっていました。
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レイ・ブラッドベリ逝去 [本・小説]

SF 作家 Ray Bradbury(レイ ブラッドベリ)氏死去
SF 作家 Ray Bradbury(レイ ブラッドベリ)氏が2012年6月5日(米国時間)、
米国ロサンゼルスで亡くなった。91歳だった。
ブラッドベリ氏のご息女アレクサンドラさんが6日朝に公表した。

ブラッドベリ氏は、20世紀の米国を代表する作家の1人。
SF作品を文学のメインストリームへと押し上げた作家の1人としても知られている。

ブラッドベリ氏の代表作には、「ウは宇宙船のウ」「太陽の黄金の林檎」
「何かが道をやってくる」「たんぽぽのお酒」「火星年代記」 などがある。

まだ10代の頃、友人と女性に向けと言われるけど、合わないんだよね。
と、言っていたのがブラッドベリでした。
一度は読んでみてと薦められた「たんぽぽのお酒」は、共に途中でリタイヤ組。
友人はアシモフやホーガン好きだったし、私は、谷甲州とか読んでいたから、
多分、「SF」として求める方向が違っていたのだと思う

その後、連作短編「火星年代記」を読んで、気に入った話とあれ?と感じる話が、
ごちゃ混ぜ状態だったので、ブラッドベリの作品は、
私には当たり外れがかーなーりあるのだとわかったのでした。
短編集の翻訳も多く、ショートショートの星新一と共に、
SFは構えて読むものではないと、知らしめた功績は多大だと思います。
謹んでお悔やみ申し上げます。

近年、10~20代の頃に読んだSF作者の訃報が、次々と入るようになりました。
考えてみれば、翻訳されるまでに数年かかるから、
日本で出版された時には、既にタイムラグが発生。
ル・グインが母親より年上だと知った時には、本気でぶっとびました。
作品は歳をとらないんですよね……
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花咲く森の妖魔の姫 [本・小説]

花咲く森の妖魔の姫』(縞田理理 著 ウィングス文庫  新書館)
妖魔が棲むと噂される森・ポポワトー。
その地を相続することになった王子リシャールは、
森で獣に襲われかけ、フィーという少女に助けられる。
木の葉のドレスを纏った美しく純粋なフィーに心を奪われ、
その後も度々森を訪れるリシャール。
一方フィーも、知的で誠実なリシャールに無自覚に惹かれていく。
だが彼女はポポワトー最強の妖魔・オディロンとライルの大切な養女だった。
(公式サイトより)

続き物ではなく、1冊完結の物語。
フェアリーテールと言うよりは、中世のロマンス風のイメージ。
妖魔の養い子と、王位継承権末端の王子様なので、
妖女メリュジーヌのように異類婚姻譚でありませんが、
人間界へ戻る際に、~してはならないと言う、タブーが付くのはお約束。

奇想天外な派手さはありませんが、読み終えた感想は、素直に面白かった。
この作者さんの描く世界観が好きなのです。
無理に型に押しはめて作られた感がなく、
そういうものなのだと思わせるものがあって、
神話や民話の要素を上手くアレンジしているなっと。
長編ではなく読み切りで、ありえそうと思わせる異世界を書くのは、以外と難しい。

ところで、ポポワトーは、ポワティエからかな。と、勝手に連想。
……中世ロマンス系の宮廷文化だと、つい、
アリエノール・ダキテーヌを思い浮かべてしまいます。
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本の覚え違いタイトル集 [本・小説]

今は自宅でネット検索出来るので、ずいぶん楽になりましたが、
昔はうっかり本の題名を覚え間違うと、
図書館や書店で本を探す時に、かーなーり苦労しました。
利用者が多い図書館ともなると、覚え間違いも多種多様に渡るようです。

福井県立図書館 覚え違いタイトル集
ここはネットで教えてもらいました。
「本のタイトルがよくわからない、うろおぼえ。
図書館のカウンターで出会った覚え違いしやすいタイトル、
著者名などをリストにしました。」

挙げられている実例を見ると、そう勘違いするのもわかるけれど、
トンデモ風になっているのが多々あって、
対応した方の苦労に同情しつつ、笑ってしまいました。

そして、思わず肯いてしまったのは、出版社ごとに異なる、
児童書のタイトルが掲載されていた事。
子供時代に読んだ本と、今ある本では、
タイトルが変わってしまったものは、意外にあります。

有名どころの、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズだと、
「赤毛連盟」が、「赤髪連合」「赤毛軍団のひみつ」
昔、友人と書店で、直訳すぎて風情がないと嘆いたのが、
「銀星号事件」が、「名馬シルバー・ブレイズ号」などなど。

「覚え違いタイトル集へ掲載する、あなたの出会った覚え違いを募集しています」
と、ありますが、日々新しい本が出版されていますから、
新たな覚え違いも生まれている訳で、本当にご苦労様です。

ちなみに、今掲載中のもので、個人的に一番ウケたのは「トコトコ公太郎」。
口頭で言われたら、かーなーり悩みそうです。
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アン・マキャフリー 逝去 [本・小説]

SF作家アン・マキャフリー 逝去
SF作家のアン・マキャフリーが、現地時間11月21日(月)、
アイルランドの自宅で、脳卒中で逝去しました。85歳でした。

■SF情報サイト「ローカス・オンライン」の訃報
http://www.locusmag.com/News/2011/11/anne-mccaffrey-1926-2011/

1926年4月1日、合衆国マサチューセッツ州生まれ。
53年にSF専門誌〈サイエンス・フィクション・プラス〉よりデビュー。
最初の長編は、67年に刊行されたRESTOREE(未訳)でした。

一番最初に読んだのが、中学生の頃で「塔の中の姫君」
パーンと歌う船の短編が入っていて、本編の翻訳が楽しみでした。
パーンの「白い竜」は、高校の定時試験真っ最中なのに、
5時間かけて読破したのも、懐かしい思い出。
……試験の結果は、ノーコメントでお願いします。

「歌う船」は女性向けのロマンティックSFと言われたけど、
そういう謳い文句つける必要があるのかと、当時思ったものです。
(女性向けと言われた、夏への扉や、たんぽぽのお酒などは、
私にはとにかく相性が悪かったもので)
作品に思い入れがあるので、その後の合作には手を出しませんでしたが。

1970~80年代は色々と翻訳が出て、あの頃のSFは、
読む本がいっぱいあって、いい時代でした。
「歌う船」今とは表紙違う初版で持っていますが、
84年1月に発行されているんですね……

謹んでお悔やみ申し上げます。
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長い旅の終わり [本・小説]

『天と地の守り人』(上橋菜穂子 著 偕成社)
守り人シリーズ最終巻、やっと読み終える事が出来ました。
ずっと図書館で借りていたのですが、その図書館が移動してしまったり、
人気のある作者なので、いつ行っても本が櫛の歯が抜けた状態だったし、
どこまで読んだのかわからなくなったりして、長らく中断していのですが、
新潮文庫からこの度出版されたおかけで、『蒼路の旅人』まで読んでいたのが判明。
一昨日、天と地の守り人1~3部、全て揃っていたので一気読みしました。

偕成社:守り人&旅人 スペシャルページ

『精霊の守り人』を読んだのは、まだ、この守り人シリーズが、
2~3冊しか出ていない頃で、旅人シリーズを含め、
ここまで広く国家間の話になるとは、思いませんでした。
でも、最後まで読み終えて感じたのは、
バルサが長い旅を終えるまでの物語だったなっと。

個人的に嬉しかったのが、バルサが他人に対してタンダの「つれあい」発言。
苦節20年以上だよ、おめでとう!
……当の本人が、とても聞ける状態ではないのが、切ないのですが。

ナユグと水、もう20年以上前に読んだ本、アボリジニの伝承を基にした、
「ウィラン・サーガ」の水の精を思い出したのですが、
作者がアボリジニの研究者でもあると、後に知りました。
いつか、アボリジニの伝承も調べてみたいと思います。
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イルスの竪琴、復刊 [本・小説]

長く待ち望んでいた本の復刊。
星を帯びし者』イルスの竪琴1
(パトリシア・A・マキリップ 著 創元推理文庫 東京創元社)
ヘドの若き領主モルゴンは幽霊との謎かけ試合に勝って、大国アンで王冠を手に入れた。
だがアンの王女と結婚すべく偉大なる者の竪琴弾きと共に船出するや、
船は難破しモルゴンは海に投げ出される。(あらすじより抜粋)

中学生の時に、同作者の『妖女サイベルの呼び声』と一緒に買って、
こたつに寝転んで半分うつらうつらしながらも、一気読みした覚えがあります。
人に薦めたくても、元の出版社がフェア開催時に、この巻だけは出ても、
2・3巻が無いと言う蛇の生殺し状況だったから、諦めるしかなかったけれど、
今回、東京創元社から3冊復刊される事になりました。

主人公は旅をするけれど、RPGの仲間を集めて冒険モノ。
とは、一線を引いた物語です。
個人的にお気に入りなのは、2巻の『海と炎の娘』。
でも、改めて1巻を読み直してみると、以前はしっかりせんかい!
アレコレ悩む主役に対して思った筈なのに、
この状況では、無理ないよな。と、受け止め方が変わっているのに、
自分の時間の流れを感じました。

原題が、「THE RIDDLE-MASTRE OF HED」
謎解き博士(リドルマスター)と言うぐらいなので、
会話の中にも度々、謎かけと謎解きが出てきますが、
それらは歴史上の人物の逸話でもあって、世界感に深みを与えています。
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