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彩雲国物語、次で完結 [本・小説]

彩雲国物語 紫闇の玉座(上)』(雪乃紗衣 著 角川ビーンズ文庫)
7月1日に下巻が発売予定とあり、それで完結となります。

昨年春に出た前巻のあとがきに、次回は時間を頂きます。と、あったし、
この状況が続くなら、完結するまで読むのを止めよう。
そう思って買ったけれど、読まずにいました。
でも、ちゃんと完結するなら、3冊一度に読むよりは、
今のうち2冊片付けておこうと、続けて読みました。

結論から言うと、物語として読めるし、面白くはあるけど、
やっぱり初期と比べると、読むのにテンションが落ちてしまいます。
この本を紹介してくれた友人を始め、
ここ数冊読んでない・買ってないって人が複数いますし。

理由の1つが、後出しじゃんけんの如く、実は凄いんですキャラが増え続ける事。
少年漫画のバトル物で次々強敵が現れて、強さのインフレを起こすのと一緒。
若造だけじゃ国は成り立たないのはわかるけど、
当初から登場組が、あいつからも、こいつからも、
貴方達は気付いてなかったでしょうが、我々の掌の上で踊られていたんですよ。
それらを秀麗達がひっくり返していく為とは言え、これが続くとさすがに……

初期の頃、若いものが大人達一緒に、官吏として国を立て直していく。
茶州編の辺りまでのノリが好きでした。

最終巻、前情報とか仕入れていないので、内容は不明ですが、
綺麗な終幕を迎えられるよう、期待しています。
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叶わなかった夢の結晶の物語 [本・小説]

読んだ感想が、素直に美しいなと思わせる文章の小説でした。
夢の上 1 翠輝晶・蒼輝晶 』(多崎 礼 著 C・NOVELSファンタジア 中央公論新社)
デビュー作の『煌夜祭』と同様、連作短編形式で、
夢利きが6つの彩輝晶に込められた夢を、王に語る物語。
1話目は女性視点、2話目は男性視点と、性別も立場も異なる2人が、
一人称でそれまでの人生と、叶うことのなかった夢を語る。
2話ずつ収録で全3巻、2巻が1月、3巻が5月刊行予定ですが、
1巻の時点で今年オススメの本の中の1冊に。

前作の最終巻が出たのが2年前と、かーなーり時間が空きましたが、
同封のチラシに、残り2巻の刊行予定が載っていまして、
おそらく、その間に書き溜めていたからなのでしょう。
この作者さんが紡ぐ物語は、来たるべき最後へ向かって綿密に織り上げていく。
そんなイメージがあるので、完結の目処がついてから、
本を刊行するのは、作風に合っていると思います。

そんな訳で、ちゃんと刊行に合わせて購入した1巻ですが、
5月に最終巻が出てから一気読みしようと思って、読むのを控えていました。
ですが、本日1時間ぐらい出先で時間が余るので、手にした未読本がこちらでした。

序幕の6ページで既に、語り手、聞き手、状況の簡易説明を終えています。
読み終えた後、もう一度序章を読み直すと、激動の時代を経た証とか、
王とは言ったい誰なのか、1巻に出てきた人物の1人なのかと、
さりげなく色々と示していて、さすが、『煌夜祭』の作者だなっと。

これってTVドラマなら、アバンの時間でそれをやっている訳でして、
異世界、それも単純な西洋モドキRPGの世界とは異なる世界へ、
読み手を引き込む手段は、見事としか言えません。
あと、日本語っていいなと思うのは、一人称の多さと、
言葉で男女差の違いが、表現出来る事。
この本が英語に翻訳されたら、どの登場人物も「I」で統一なんですよね……

最後に、海外物の翻訳にあるように、イラストではなく、
文章の人物紹介か、もしくは、イラストに紹介文があると良かったと。
私の読み方は、映画のような2~3次元を脳裏に思い浮かべるものではなく、
文章や言葉の響き、交わす台詞の声や抑揚から、イメージが広がるので、
特にイラストは無くても問題ないのですが、
血縁関係、どの地に縛られた者なのか、読んでいてこの人、どんな立場だっけ?
と、なった時に確認するのに、人物紹介は便利なんですよね。
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吸血鬼たちと人間たちの物語 [本・小説]

BLACK BLOOD BROTHERS 11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生―
(あざの耕平 著 富士見ファンタジア文庫)
10巻―銀刀出陣―と合わせて、2ヶ月連続出版で、BBBもこれにて完結。
このシリーズは友人から借りたり、図書館を利用して読み続けてきまして、
10・11巻も友人の本ですが、昨日借りたのに一気に制覇してしまいました。
シリーズ物では途中の盛り上がりは凄いのに、
尻つぼみで終わってしまった作品が多々ありますが、
スロースターターと言われる作者だけあって、実に見事な終幕でした。
改めて1巻から読み直したいと思わせる最終巻を呼んだのは、久しぶりかも。
……気が付くと、全巻手元に揃っていたりして。

作者があとがきで、「吸血鬼たちと人間たちの物語」と述べているように、
歴史の闇にいた吸血鬼たちが、人間たちとどのようにして係わり、
新たな絆を繋いでいくのかと言う一面がある一方、
敵との壮絶な知力・能力をフルに使った戦いが繰り広げられます。
吸血鬼側のメイン2人がどうなるのかは、1巻で知らされ、覚悟していたけれど、
そこに人間側のヒロインが加わった事により、微妙に変化があったりして、
このラスト2巻は、最後まで息が抜けないものとなりました。

そして、作者が上手いなっと思うのが、本文中で全部説明しない処です。
謎を放り投げる訳ではないのですが、全てを書き記すのでなく、
そこから先のシーンは自分達で思い浮かべて下さいと、
読者に想像の余地を残すのが、物語の幅を広げている一因でもあるかと。
吸血鬼、頑張る女の子、異能力戦が好きな人には、
ぜひとも書店・図書館・古本屋へGo!と、お勧めしたい本です。
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茨文字の意味するもの [本・小説]

茨文字の魔法』 (パトリシア・A. マキリップ 著 創元推理文庫)
昨年はマキリップの本の出版ラッシュでして、
・オドの魔法使い(2008.2)
・ホアズブレスの龍追い人(2008.8)
・チェンジリング・シー(2008.9)
・茨文字の魔法(2009.1)
まさか、1年間で4冊も翻訳されるとは思わなかったので、かーなーりびっくり。

本はいずれも発売月に購入したのですが、昨年は色々あって、
読書ペースが落ちていたのと、マキリップを読むのには興が乗っていないと無理なので、
全てを読み終えるまでに、ここまでかかってしまいました。

この4冊の中で最も良かったのが『茨文字の魔法』でした。
訳者も出版社も違うので、一概に言い切れないのですが、
一番文章が読みやすかったようにも思います。

図書館で育てられ司書となった娘、ネペンテス。
父王が急死し、レイン十二邦を治める若き女王テッサラ。
そして、ネペンテスが解読し始めた茨文字で記された古代の書物の作者、魔術師のケイン。
この3人の女性の物語です。
それぞれ異なる立場で話が進んでいくのに、少しずつ重なり合い、
やがて、1つの物語として終焉を迎える様が見事です。
ファンタジィよりも、幻想小説と呼ぶ方が相応しく思えるマキリップの世界。
出来れば、一気読みして欲しい本です。
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少女の夢は宇宙飛行士 [本・小説]

星虫年代記 1 星虫/イーシャの舟/バレンタイン・デイツ (岩本 隆雄 著 朝日ノベルズ 新書)
先月末に再々版された本で、最初に新潮文庫で発行されたのが1990年、約20年前。
少し未来の物語と言う事で、今の時代に合わせた細かな設定変更はありますが、
一見優等生の女子高校生、実は宇宙飛行士になるのが夢の氷室友美が、
「星虫」と呼ばれる宇宙生物と過ごす事になった、
波乱万丈な1週間の出来事なのは変わっていません。

今だからこそ、「夢は宇宙飛行士」と素直に言えますが、
この本が出版された1990年はまだ、現実的とは言い難かった時代。
(毛利 衛さんがスペースシャトルに乗ったのが、1992年9月12日)
友美が小学生の時に、教師から将来の夢を本気にされなかった。
と、言うのは、その当時では無理も無い事だったのです。

それなのに、宇宙飛行士になるにはどうすべきか。
と、体力づくり等、本の中で指針を述べているのに、まずびっくりしました。
なんちゃってSFと現実との兼ね合いのバランスが良くて、上手く騙されます。
最初にこの本を読み終えた時、真っ先に思ったのが、
「子供の頃に読みたかった」でした。

ちなみに「星虫」と「イーシャの舟」、これで我が家に3冊(出版社別)
前の2冊にそれぞれ思い入れがあるのと、どれも手を加えてあり、
ヴァージョン違いのようなものなので、そのまま増やすしかないと言う……
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大きなサイズと言われても [本・小説]

今月に入ってから、SFや書店関係のネット上で、
さりげなく話題になっていたのが、ハヤカワ文庫。
これはさすがにネタだろう。早川書房が本気でやるとは思えない。
そんな意見が出たぐらい、信じがたい事でしたが、
本日、書店で実物を目にしてきまして、がっくり。
ヴォネガットの名作『タイタンの妖女』が大きなサイズ、大きな活字で読みやすい、改訳・新装版で登場!

平台に並べてあるのを見たのですが、本当に文庫とサイズが異なっていまして、
徳間デュアル文庫同様に、背が高くなってます。
つまり、びったりサイズの文庫棚だと、本が入らないことに……

ハヤカワ文庫って、文字サイズを大きくしてページ数増やして、
本の値段を上げたとしか思えない状態だったのに、今度はサイズ変更ですか。
本棚の収納状況を鑑みると、困った事になりそうです。
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復刊、嬉や [本・小説]

今月、『天の光はすべて星』(フレドリック・ブラウン 著)が、
ハヤカワ文庫で復刊されると知り、びっくり。
ハヤカワ・オンライン 刊行予定

ネットで調べてみたら、復刊されるのはアニメのグレンラガンの影響か?
何て意見もありましたが、見ていない作品なので、判断出来ません。
タイトルからは、華麗で美しいイメージが浮かぴますが、実際は意外と地味らしい。
でも、ぜひ一度読んで見たかった話なので、嬉しい限り。

しかも、合わせて『闇の公子』(タニス・リー 著)も復刊、その上、表紙がアニメ絵じゃない!
失礼ながら、いったいハヤカワに何があったのかと、本気で思ってしまいました。
平たい地球シリーズ、全部読んでから処分しましたが、
一作目の『闇の公子』だけは結局手放せなくて、今も手元にあります。
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日本SFの星、少女小説の星、共に流れて… [本・小説]

まさか、同日にお亡くなりになられるとは。
御二方のご冥福をお祈り致します。

訃報:野田昌宏さん74歳  「スターウォーズ」を翻訳、「ポンキッキ」な人気番組制作も

作家の氷室冴子さん死去

キャプテンフューチャーは、火星のプリンセスと共に、小学生の頃に読んだ初めてのSF。
大元帥訳の早川版は中学生になってから、全部読みました。
創元推理文庫から再販されているので、そのうち読み直そうと思っていたのに……
「銀河乞食軍団」、いつの日か続きを書いてくれないかなと、処分出来ない本の1つでした。

氷室さん、ライトノベルって言葉が生まれる前、少女小説の作家ってイメージがあります。
会社の同僚から借りた、ジャパネスクやざ・ちぇんじ、
上手く古典を生かして、読みやすくした手腕は凄いと、今でも思います。
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Anne of Green Gables [本・小説]

「赤毛のアン」出版100年でブーム 本やツアー
「赤毛のアン」が誕生して今年で100年なので、ちょっとしたブームが起きているそうです。
確かに書店に行くと、翻訳文庫本の新装版が出版社ごとに平積みされていたりします。
原文はシェークスピアや聖書、他にも英米詩などの引用があって、
そちら方面が好きな人には、また別の楽しさがあるのだとか。
(詳しくは 松本侑子ホームページ   モンゴメリ・デジタル・ライブラリを参照)

「God's in his heaven, all's right with the world」
新世紀エヴァンゲリオンのNERVマークの英文としても使われている、
19世紀 詩人 ロバート・ブラウニングの「Pippa Passes」の一節ですが、
実は「赤毛のアン」の本文の締めの言葉でもあります。
「神は天に在り、世は全てこともなし」と、アンは小さく呟いた。

何人かの方が翻訳されていますが、私が一番最初に読んだ児童書は、
アンを日本に初めて紹介した翻訳家、村岡花子氏の本だったので、
今読み直すのなら、新潮社の原文の省かれた部分を補完し、
表紙の絵柄も刷新した新装版全10巻になるのでしょうか。
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yomyom6号 [本・小説]

2/27発行の「yom yom」6号(新潮社)の特集は、「ファンタジー小説の愉しみ」
上橋菜穂子さんのインタビューもあるそうですが、
一番の売りは、小野不由美さんの「十二国記」新作、90枚を一挙掲載。
私は「ゴーストハント」も「十二国記」も読んでいませんが、
友人達がどちらも読んでいて、続きを待っていたので、
書店で探すように伝えたけど、季刊なのが結構、ネックですよね…

新潮社と言えば、日本ファンタジーノベル大賞で、色々な作家を発掘してくれましたが、
この賞の作品では、大賞ではなかったけど、「星虫」が好きでした。
友人と、中・高校生時代に出会いたかった小説。と、言う点で意見が一致しています。
宇宙飛行士に本気でなりたいと努力する女子高生が主役って処が凄い!


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